相続人申告登記について①
「相続人申告登記とはひとことでいいますと、過料を免れるためのもの」と覚えておいてほぼ間違いはないでしょう。
令和6年4月1日から新設されたものですが、この制度を知っておくだけで少しだけ得をするかもしれません。
相続登記の義務化と言われましても、あまりイメージがわかないと思います。相続登記の義務化で一番気を付けておきたいことは過料が科されるかもしれないので、まずは過料について詳しく見ておきたいと思います。
過料が科される流れ
1、登記官が職務上、申請義務違反を把握する
2、登記官が相続人に対して、義務の履行を催告する
3、正当な理由がないにもかかわらず、相続登記をしない
※相続登記を履行すれば、過料が課されることはありません。
4、法務局が裁判所に対して過料事件の通知を送る
5、裁判所が過料の要件に該当するか判断をし、過料を科する旨の裁判をする。
注意をしていただきたいのは、登記官が職務上申請義務違反を把握したときに、「あなた相続登記してませんよね」と話が来ることになるので、正直なところ、登記官にばれなければ過料に科されることはないです。登記官が職務上、申請義務違反を把握する場合の一例として、提出された遺言書や遺産分割協議書などに物件の記載があるのに、相続登記の申請がされていない場合などです。相続登記をしようとする方が故意にある物件だけ登記をしないということは考えにくいです。遺産分割協議書や遺言書にたくさんの物件の表示がある方はリスクが高くなりますので注意が必要です。
正当な理由がないのに申請義務の履行を無視してしまうと…
また、正当な理由がないのに登記官の方からの申請義務の履行を無視してしまうと、過料通知が裁判所に対して出されてしまいます。正当な理由というのは簡単に言いますと、
・相続人が多数で時間がかかる場合
・相続財産で争いがある場合
・経済的な理由で登記費用が払えない場合
などで、単に「遺産分割協議がととのわなかった」「相続登記が義務化されたことを知らなかった」といった自分都合の理由では正当な理由とはならないので注意が必要です。
おわりに
ここまで話を聞くと、「すぐに相続人申告登記をする必要ないじゃん」と思われる方も多いと思います。しかし、法務局(登記官の方)から相続登記をしてくださいとの催告がいきなり来ると、なにをすればよいのかわからない、相続人間ですぐに遺産分割協議をまとめることは難しいなど焦ってしまう人が大多数のはずです。
そんなときのための相続人申告登記です。
相続人申告登記について興味を持たれ方が少しでもいることを願って、次回、相続人申告登記の具体的な手続きについての記事を記載したいと思います。
(文責:司法書士 上田祐治)
このコラムの監修者
- 司法書士
- 広島県エリア担当
所属:アップ・リーガル司法書士事務所
相続の手続は複雑なものが多く、手続きの種類も多岐にわたるため、どうしていいか分からないという方も多いのではないでしょうか。
当事務所では、お客様の「どうしよう」という不安な思いを「相談してよかった」と安心していただけるように、お客様に寄り添いながら手続きを進めさせていただきます。
ご依頼を真摯に受け止めお客様への思いやり、心づかいをもって一生懸命にお役に立ちたいと思っておりますので、まずはお気軽にご相談ください。
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