相続コラム

相続放棄は慎重に(2)

 前回に続き、被相続人・波平さんの相続人が「妻のフネさん」と、「一人っ子のカツオさん(成人)」だった場合の事例を見ながら、相続放棄の法的効果について解説します。
 カツオさんが「お母さん(フネ)に相続させるために、自分が相続放棄をしなければならない」と考え、家庭裁判所へ相続放棄の申述をして受理された場合、波平さんの相続人は「フネさんと、『波平さんの親』または『波平さんの兄弟姉妹』」となってしまいます。これはなぜなのでしょうか。

相続放棄により、「次順位の相続人」が相続人となる

相続放棄の申述が受理されると、カツオさんは民法第939条により「初めから相続人とならなかったもの」とみなされます。これはどういうことかというと、波平さんには「第一順位の相続人(=子)」がいなかった、ということになります(ちなみに、本事例ではカツオさんは一人っ子で、波平さんにはほかには子がいません)。
 そして、被相続人に「第一順位の相続人(=子)」がいない場合は、「第二順位(=直系尊属)」が相続人になり、第二順位の相続人がいない場合は、「第三順位(=兄弟姉妹)」が相続人となります。なお、配偶者は常に相続人となります。
 つまり、カツオさんが相続放棄をすることで、波平さんの相続人が「フネさん(配偶者)」と「第二順位(または第三順位)の相続人」となってしまうのです。
 「第二順位(または第三順位)の相続人」の「全員」が、フネさんが遺産を相続することに賛成であればよいのですが、さまざまな理由で遺産分割協議がまとまらず、相続が長期化してしまうケースもあります。
(※本事例で、もし波平さんにカツオさん以外の子がおり、その子が相続放棄をしなかった場合は、「第一順位の相続人(=子)」がいることになりますので、相続権が次順位に移ることはありません)

相続放棄については専門家へご相談を

  以上のように、相続放棄について誤解をしていたため、相続人の本来の意図とは異なった形での相続になってしまうケースがあります。
 もちろん、一切の相続をしたくない、と考えて相続放棄が必要となる場合もあります。
 相続の承認や放棄による法律効果をしっかり理解して手続を進めていくためにも、相続・相続放棄については専門家へご相談することをお勧めいたします。
(文責 司法書士 小林あき)

このコラムの監修者

こばやし あき小林 あき
司法書士
長野県エリア担当
所属:NK司法書士事務所

長野県安曇野市と松本市の境目にある司法書士事務所です。
相続のご相談を多数受けてきた経験から感じることは、多くの方が、ご相続が発生して初めて「何をどうすればいいのだろう」と疑問・不安をお持ちになるということです。ご相続が発生すると、大切な方との別離という悲しみの中、多くの慣れない事務処理をしなくてはならないため、相続人の方の精神的なご負担が大きなものとなります。

当事務所では、相続のお手続きが少しでもスムースに進むようにアドバイスやサポートをさせていただきます。また、お元気なうちから「万が一の時」に備えてどのような対策を取っておけるのかを考えたい方も、是非ご相談ください。

こばやし あき小林 あき

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