遺産分割と譲渡所得の特例(取得費加算の特例)
相続の際にどのように遺産分割するかは、相続税はもちろんですが、その後万が一相続した財産を売却することになった場合には譲渡所得税の税額にも影響してきます。
このことを知っているかいないかで将来数百万円税額が変わることになりますが、いくつかの譲渡所得の特例が係わってきますので3回に分けて解説していきます。
今回解説していくのは「取得費加算の特例」です。
取得費加算の特例は、相続税の課税対象となる財産について、その取得費(購入価格や取得にかかった費用)を加算することができる制度です。この特例は、特に不動産の相続や有価証券の相続において重要な役割を果たします。
相続した不動産を売却する際、売却価格から取得費用や譲渡費用を引いた額が譲渡所得として課税対象となります。
相続によって取得した財産の取得費用は、被相続人が購入したときの価格が引き継がれることになります。したがって、取得費用が不明である場合や、被相続人が長期間保有していた場合、実際の取得価格と大きな乖離が生じる可能性があります。
そこで、取得費加算の特例を利用すると譲渡所得の計算において有利になります。
【具体例】
相続で取得した不動産(取得価格は不明)を5千万円で売却した場合
(不動産の相続税評価額4,000万円、相続財産の合計額7,000万円、相続税額360万円)
・特例を使わなかった場合
① 譲渡所得の計算
5,000万円-250万円(概算取得費)=4,750万円
② 譲渡所得税の計算
4,750万円×20%=950万円
・特例を使った場合
① 取得費加算額の計算
360万円×4,000万円÷7,000万円=205万円
② 譲渡所得の計算
5,000万円-〔250万円(概算取得費)+205万円〕=4,545万円
③ 譲渡所得税の計算
4,545万円×20%=909万円
最後に、この特例を利用する際には、税務署への申告が必要です。適用を受けるためには、相続発生時の書類や売却時の契約書類などを提出し、適正な手続きを行うことが重要です。また、税制や手続きは年々変更されることがあるため、最新の情報を確認し、専門家に相談することをお勧めします。
(文責:税理士 伊藤千尋)
このコラムの監修者
- 税理士
- 千葉県エリア担当
所属:税理士法人マインライフ千葉事務所
相続税申告は税理士によって経験値の多寡や得手不得手がはっきりしている分野です。そのため、数年間に1件程度又は全く相続税申告を行っていない税理士もおり、担当する税理士によってその後の税額も大きく変わってきます。相続税申告で著名な税理士法人でも、税理士でなく有資格者でないスタッフが案件を担当することが多くあり、担当者により能力が違っているのが現実です。
税理士法人マインライフでは、相続税申告経験数100件超の経験豊かな税理士が必ず案件を担当いたします。相続税申告について経験豊かな税理士がお客様と直接お話し、申告内容・財産評価の報告をすることで高品質な相続税申告を行うことができます。
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