相続コラム

問題のある不動産の相続事例(東北編その2)

実務の続き

さて、兄方とメールや電話で情報や資料をやり取りする中で、一々細かい点に突っかかってきたり、脅すような言葉遣いをするため、苛烈と表現した性格が比喩ではないことを実感することになります。そもそも、問題だらけの不動産だけを妹に遺贈するというのも酷い話ですが、生前から遺留分対策であろうと思われる資金の動きが多々あり、1円たりとも妹に多く払いたくないという強烈な意思が感じられます。
遺留分とは、法定相続人にある一定の相続財産を相続する保証割合のことで、本件では全体の財産額の8分の1になります。計算方法は複雑なので省きますが、ある程度は減らすテクニックがあり、兄方はそれを駆使してなんとか妹を相続から排除したいという考えの様でした。
通常遺留分の計算で難しくなるのは不動産などの時価の算定ですが、本件では依頼者側が揉めることやり取りをなるべく避ける為に基本的に先方の案を飲むつもりでした。そのため先方から送られてきた資料の中で、法的に考えて明らかにおかしい部分のみ指摘し、それ以外の部分については触れないようにしました。もしここで不動産の時価についてなど意見の相違があるようであれば弁護士さんに依頼するのですが、依頼者としては弁護士に依頼することで兄に恨まれることの方がよほど嫌だったようです。
最終的には、両者の意見を汲んだ遺留分に関する合意書を作成し、合意書通りの遺留分を先方から振り込んでもらい、不動産は営業努力の結果ある程度いいお値段で売却し、なんとか業務終了しました。

終わりに

依頼者には大変感謝されましたが、東北まで現地調査と決済で2回行き、イレギュラーも多く、なかなか大変な案件でした。
不動産自体の難易度、親族間の関係性、地理的な要因と、相続は一律にいかず、いかに不動産と相続に関する法的な知識、経験と人間性の試される総合格闘技であると改めて認識させられる思い出深い案件です。

このコラムの監修者

しょうだ かずき庄田 和樹
司法書士
東京都エリア担当
所属:司法書士法人 神楽坂法務合同事務所

相続太郎のホームページをご覧いただきありがとうございます。
司法書士の庄田と申します。
司法書士事務所を開業してから約10年、相続のお問い合わせは年々増えています。
家族仲がよく、全く揉めることなく終わる相続は大体2割くらいです。
法的、税務的に問題がある場合もありますし、感情的な問題がある場合も多くあります。
残念ながら日本では生きているうちに自分が亡くなった後のことをきちんと整理しておこうと積極的に行動される方はまだ少数派です。
遺言を書く、保険に入っておく、不動産を分割しやすいように整理しておくなど、終活は残される方への愛情だと思います。
相続太郎というキャラクターは相続のことを話すハードルを下げるために作りました。
お気軽に、まずはご相談下さい。

しょうだ かずき庄田 和樹

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家族仲がよく、全く揉めることなく終わる相続は大体2割くらいです。
法的、税務的に問題がある場合もありますし、感情的な問題がある場合も多くあります。
残念ながら日本では生きているうちに自分が亡くなった後のことをきちんと整理しておこうと積極的に行動される方はまだ少数派です。
遺言を書く、保険に入っておく、不動産を分割しやすいように整理しておくなど、終活は残される方への愛情だと思います。
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