相続コラム

配偶者居住権の中身を知ろう!(民法1028条~1036条)

「配偶者居住権」と「配偶者短期居住権」

前回、令和2年の民法改正によって新たに設定された配偶者居住権について制定された背景と制度概要をお話ししました。
 今回は具体的な制度のお話です。
配偶者居住権には2つ種類があります。
「配偶者居住権」と「配偶者短期居住権」の2つです。

 配偶者居住権は、令和2年4月1日から始まった制度です。
 制度の適用があるのは、令和2年4月1日以降に生じた相続または令和2年4月1日以降に配偶者居住権を遺贈するという内容で作成された遺言が対象となります。

①どんな場合に配偶者居住権は認められるの?(成立要件)
配偶者居住権が認められる要件は以下になります。
・被相続人(亡くなられた方)所有の建物に相続開始時点でその配偶者が住んでいたこと。
・上記要件を満たした配偶者に配偶者居住権を取得させる遺産分割協議・調停・審判のどれかが成立したこと。もしくは配偶者に配偶者居住権を遺贈する旨の遺言があること。
 死因贈与契約によることもできる(民554条準用)。

②配偶者居住権を設定して住む場合、お金はかかる?それともタダ?(有償・無償)
・配偶者居住権は無償の権利です。

③配偶者居住権はいつまで続くの(存続期間)
・配偶者居住権を取得した配偶者が死ぬまで権利は存続します。
もしくは、遺産分割等で存続期間につき別段の定めをした場合はそれまでとなります。
 ・建物が滅失した場合は配偶者居住権も消滅してしまいます。

④法的に第三者に対抗するためには?(対抗要件)
・登記のみが対抗要件です。
→配偶者居住権設定の登記をしないと第三者に対抗することができません。
→建物所有権を取得した者に対し、登記を請求することができます(登記請求権)。
→登記は所有権に関する登記ではないので、通常の賃貸借登記と同じく登記記録の権利部乙区にされます。

⑤1階だけとか建物の一部にも設定できるの?(範囲)
・建物全部について成立します。
→逆に一部に成立することはありません。

⑥その他
・譲渡することはできません。
・相続の対象とはなりません(一身専属権)。
・賃貸借と異なり、建物所有者の承諾がなくても修繕ができます。
・通常の必要費は配偶者の負担です。特別な必要費と有益費は建物所有者の負担です。

(文責:司法書士村田事務所 村田 弘志)

このコラムの監修者

むらた ひろし村田 弘志
司法書士
兵庫県エリア担当
所属:司法書士村田事務所

当事務所は、おかげさまでこれまでたくさんのお客様から相続手続や遺言作成のご依頼を頂いてまいりました。

一度ご依頼を受けた方から別のご依頼を頂いたり、他の方のご紹介を頂くことも多いです。
これは大変光栄なことであり、司法書士冥利につきます。

これからも一人一人のお客様・案件に真摯に向き合い、お手伝いをさせて頂くことをこれからも心がけ、もっともっと多くの方々からご支持・ご愛顧いただけるような事務所にしていきたいと思っておりますので、ぜひ一度お気軽にご相談ください。

むらた ひろし村田 弘志

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