処分の難しい不動産を相続した場合の対処法 その4
はじめに
処分困難不動産シリーズその4、ケース7と8では少しマニアックな再開発案件と墓地の物件をご紹介します。ケース9では非常によくある古い建物が建っている土地について特有問題を踏まえ、空き家対策特別措置法や民泊での利用にも触れつつ、お話ししていきます。
ケース7 再開発や区画整理の権利変換中の物件
こういった物件は再開発や区画整理がある程度進んで、権利変換後の土地やある種の差金などが決まっていれば普通に売却等できるので問題ありませんが、もし中途半端な時期に相続が発生してしまい、相続税の納期があるために売り急ぐ場合は難しくなってきます。
こういった物件は再開発や区画整理がある程度進んで、権利変換後の土地やある種の差金などが決まっていれば普通に売却等できるので問題ありませんが、もし中途半端な時期に相続が発生してしまい、相続税の納期があるために売り急ぐ場合は難しくなってきます。
再開発と区画整理で多少違いがありますが、大きな流れとしては以下のようになります。
①水面下での計画の決定、交渉→②準備組合等の設立→③正式な権利変換計画の公表→④権利変換の内容の決定→⑤権利変換完了
④の前に亡くなってしまうと、足元を見られて安くなってしまったり、そもそも買主がいなかったり、自治体に買い取られてしまったりといろんなケースがあります。相続税の納税があるのに、売却金額の想定がしにくいというか、事前にはできないので、相当額の相続税が掛かることが分かっている場合には、そういった不動産を除いて納税額を確保しておくようにすることで、急いで処分等する必要性を無くしておくのが第一です。
弊所のクライアントの方でもいらっしゃったのですが、特に都内の一等地の再開発地をお持ちの方は相続税も相当の額になりますので、よくよく再開発の時期と売却や納税のタイミングを考えておかないと大変なことになります。再開発計画は延期するのが当たり前みたいなところがありますので、それを加味して物件の利用状況を管理していかないと、ずっと賃貸していたのに開発で立ち退きをして、その後相続発生して更地評価されてしまったり(税額が跳ね上がります)、買取業者が極めて限定的になってしまったりとかなり難しい舵取りが必要です。信頼のできる不動産コンサルタントを探してお付き合いしていくことをお勧めします。
ケース8 墓地
普通のよくある墓地はお寺が土地を持っていて、その利用権を借りるという形式が多いですが、他にもいろいろな形式の墓地があります。田舎の方だと個人墓地といって家の横などに一族のお墓があったりします(普通の土地所有権です)。墓地は法律上は祭祀承継財産といい、祭祀承継者が引き継ぐものになります。祭祀承継者は①遺言、②慣習や話し合い、③家庭裁判所での調停という順番で決まります。少子高齢化が進む中で、例えばご夫婦の両方の実家のお墓の権利が相続で承継されてしまい、管理が大変なので片方を手放したい、といったこともあるかと思います。その場合、一般的なお墓の利用形態であれば墓じまいをすることになりますし、個人墓地であれば相続登記に加えて管理者の変更手続きも必要になります。
墓じまいをする場合、お墓を管理するお寺等に申請をし、なにがしか墓じまい費用(離檀料等といいます)を支払い、他のお墓にお骨を移したり永代供養に移行したりします。中には意地悪なお寺もあり、法外な費用を言われることもあるようです。更に専門家に依頼する場合、20~50万円ほどかかることが多いです。
個人墓地の場合、法務局への相続登記と行政への個人墓地管理者変更が必要で、費用はケースバイケースです。墓地のままだと引き取り手は親族でないと難しいため、手放すのはかなり難しいです。墓地を閉鎖するのであればエリアによって処分の難易度は普通の土地+告知事項ありといった感じになります。
ケース9 ボロボロの建物がある土地
日本全国で空き家率が高まって問題になっています。令和5年には空き家対策特別措置法という法律も施行されました。が、正直なところあまり役に立っているとはいえません。古家付土地の処分と併せて何故あまり役に立たないかもご説明していきます。
古家付土地とは、資産価値≦取り壊しやリフォーム費用、となりそうな古い家の載っている土地のことです。なぜ中古戸建付き土地と言わないかというと、建物の価値がほぼ無く、むしろコストとリスクがあるから土地としてしか見ていない、という認識を込めて古家付土地と言っています。これは主に不動産業者的な視点です。
仮に資産価値≧取り壊し費用である場合であれば、壊してから更地にして売却すればよいとも考えられますが、先に数百万円の出費になる、高値で売れる保証がないということから一般の方でわざわざ取り壊しをしてから更地で売ることはあまりありません。
結局、古家が建っている土地は一般の方が買うことが少なく、業者が買うとしても利益が出る物件でないと売れないため、売るのに時間が掛かる又は永遠に売れない土地になりがちなのです。
空き家対策特別措置法とは、所有者としての責任を果たさない場合(ボロ屋を放置して近隣に迷惑をかける等)は行政の方で適切な処置を取りますよ、という法律です。そのために新たに利害関係人からの申請で裁判所が管理人を選任することができるようにしたり、空き家の活用を行政から専門家に委託したりすることができるようになりました。しかし、問題の根幹は空き家に資産価値がないことであり、どのような手法も財源がないので実効性はありません。管理人の費用は誰が出すのか、不動産の専門家=不動産屋さんは当たり前ですが儲からない仕事はしてくれませんが、どうマネタイズするのか、全体として機能不全な法律です。近隣の住民からすると多少役にたつかもしれませんので、全く意味がないとはいいませんが、相続した不動産を処分するという観点からは役に立ちません。
個人的に古家付土地の処分の方法として可能性があると考えているのは、民泊物件としての活用です。資産価値が低いということは基本的に田舎の物件になりますが、コロナ後のインバウンド需要の復活で、都会や観光地でなくても外国人が泊りに来てくれるようになってきました。日本人からすればただの田舎ですが、外国人からするとそういった風景に憧れがあって意外と人気があるようです。古民家や農家などの古家であれば、リフォームすることで地域の資産となるかもしれません。ただ、リフォーム費用がペイするかということなかなか難しいので、融資や補助金など自治体の補助があれば所有者も活用しやすく処分もしやすいのかと思います。
弊所では、支店のある小田原市や近隣で空き家が問題になっている真鶴町、湯河原町などの行政に対し、空き家問題で単に不動産屋に売却を紹介等するだけではなく、現所有者、相続人が自ら民泊等で活用したり、農家や漁業と併せての体験型のインバウンド受け入れができるような体制の構築を提案しています。
関連会社の士業不動産サポート株式会社で民泊の代行もしておりますので、ご興味のある方は覗いてみてください。
みんサポ
https://minsapo.jp/
(文責:神楽坂法務合同事務所 庄田)
このコラムの監修者
- 司法書士
- 東京都エリア担当
所属:司法書士法人 神楽坂法務合同事務所
相続太郎のホームページをご覧いただきありがとうございます。
司法書士の庄田と申します。
司法書士事務所を開業してから約10年、相続のお問い合わせは年々増えています。
家族仲がよく、全く揉めることなく終わる相続は大体2割くらいです。
法的、税務的に問題がある場合もありますし、感情的な問題がある場合も多くあります。
残念ながら日本では生きているうちに自分が亡くなった後のことをきちんと整理しておこうと積極的に行動される方はまだ少数派です。
遺言を書く、保険に入っておく、不動産を分割しやすいように整理しておくなど、終活は残される方への愛情だと思います。
相続太郎というキャラクターは相続のことを話すハードルを下げるために作りました。
お気軽に、まずはご相談下さい。
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家族仲がよく、全く揉めることなく終わる相続は大体2割くらいです。
法的、税務的に問題がある場合もありますし、感情的な問題がある場合も多くあります。
残念ながら日本では生きているうちに自分が亡くなった後のことをきちんと整理しておこうと積極的に行動される方はまだ少数派です。
遺言を書く、保険に入っておく、不動産を分割しやすいように整理しておくなど、終活は残される方への愛情だと思います。
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