相続コラム

空き家問題の解決方法 (1)

はじめに

◎空家等管理活用支援法人
 我が国において空家問題は年々深刻化しており、その背景には相続未登記、所有者不明化、適切な管理の欠如があります。これに対応するため、新たに「空家等管理活用支援法人」という制度が創設されました。本制度は、空き家問題に取り組む民間の法人を空家管理支援法人に指定することで公的な信頼性(お墨付き)と業務に対する財政援助を与え、自治体・市町村の空家対策をカバーすることがねらいです。具体的な業務としては「空家等活用管理支援法人による空家の活用等を図るために必要な事業」として、空家の管理・活用のために情報提供・相談(24条1号)、状況確認・改修(同条2号)、所有者探索(同条3号)、調査研究(同条4号)や普及啓発(同条5号)があります。

◎相続財産清算人、所有者不明土地管理人、管理不全土地管理人
1. 相続財産清算人
 相続人がいない、もしくは相続人全員の相続放棄することにより空き家の管理者が不在となるケースは少なくありません。この場合、利害関係にある者(被相続人の債権者や内縁の妻など)は家庭裁判所に請求することで「相続財産清算人(以下「清算人」)」を選任してもらうことができます。選任以降は清算人がその相続財産の管理・清算(債権者や受遺者に弁済)・特別縁故者(内縁の妻など)への財産分与手続を行い(法952条)、なお残余財産があれば最終的に国庫に帰属します(法959条)。以上のように、精算人は相続財産について代表者として残余財産を国に属させるまでの作業を行うことになります。

2. 所有者不明土地管理人
 近年、所有者不明(所在不明も含む)となり管理が行き届かない土地の影響が周辺環境にまで波及し近隣住民が迷惑を被るといった事案が多発しています。例えば、廃材置き場と化している土地です。このような場合、利害関係者(この場合は近隣住民)が請求し、命令発布の必要アリと裁判所が判断すれば「所有者不明土地管理命令」を出してくれます(民法264条の2、1項)。この命令により、「所有者不明土地管理人」が選任され、その管理人には土地とそこにある動産についても「保存」・「利用」できる上、性質が変わらない範囲で「改良」することもできます。空家の雑草むしりや不法投棄物の廃除などができます。もっとも、売却といった「処分」をするには別途裁判所の許可が必要です。

3. 管理不全土地管理人
 所有者がいるにもかかわらず、適切に管理されず放置されるケースも多く見られます。いわゆるゴミ屋敷において大量のゴミが散乱しているパターンです。この場合、近隣住民はゴミの妨害排除・予防請求ができ、もしこの土地が「所有者による土地の管理が不適当であることで他人(ここでは近隣住民)の権利や利益が侵害される・侵害されるおそれがあり、命令を発布する必要がある(民法264条の14、4項)」と判断されれば、裁判所から「管理不全土地管理命令」が出されます。これにより「管理不全土地管理人」が選任されます。ゴミ屋敷の場合、そのまま放っておくと、そこに野生動物が棲みつきその糞尿による悪臭が発生する可能性が少なくなく、その他衛生の観点からも周辺環境を害し近隣住民にも悪影響が及ぼされることが予想できます。

おわりに

司法書士は、登記手続きや財産管理の専門家として、上記の制度での選任により空き家問題の解決に貢献できる立場にあります。具体的には、
・相続財産清算人として、相続放棄された空き家を適切に管理・処分
・所有者不明土地管理人として所有者不明土地の調査・相続登記・適正な管理を支援
・管理不全土地建物管理人として、放置空き家の管理・安全確保や地域の利活用を推進
・空き家等管理活用支援法人と連携・地域全体の空き家対策を推進

このように複雑な空き家問題は専門家に任せるのがおすすめです。
まずはお気軽にご相談下さい。

このコラムの監修者

しょうだ かずき庄田 和樹
司法書士
東京都エリア担当
所属:司法書士法人 神楽坂法務合同事務所

相続太郎のホームページをご覧いただきありがとうございます。
司法書士の庄田と申します。
司法書士事務所を開業してから約10年、相続のお問い合わせは年々増えています。
家族仲がよく、全く揉めることなく終わる相続は大体2割くらいです。
法的、税務的に問題がある場合もありますし、感情的な問題がある場合も多くあります。
残念ながら日本では生きているうちに自分が亡くなった後のことをきちんと整理しておこうと積極的に行動される方はまだ少数派です。
遺言を書く、保険に入っておく、不動産を分割しやすいように整理しておくなど、終活は残される方への愛情だと思います。
相続太郎というキャラクターは相続のことを話すハードルを下げるために作りました。
お気軽に、まずはご相談下さい。

しょうだ かずき庄田 和樹

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司法書士の庄田と申します。
司法書士事務所を開業してから約10年、相続のお問い合わせは年々増えています。
家族仲がよく、全く揉めることなく終わる相続は大体2割くらいです。
法的、税務的に問題がある場合もありますし、感情的な問題がある場合も多くあります。
残念ながら日本では生きているうちに自分が亡くなった後のことをきちんと整理しておこうと積極的に行動される方はまだ少数派です。
遺言を書く、保険に入っておく、不動産を分割しやすいように整理しておくなど、終活は残される方への愛情だと思います。
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