相続コラム

法定相続情報証明制度とは?

〇はじめに

相続手続きでは、戸籍謄本や住民票など多くの書類を収集する必要があります。特に、相続人が多い時はこの戸籍の枚数が多くなり、登記所(法務局)や金融機関等、手続きの際に毎回戸籍の束を持ち回ることになります。
この手間を軽減できるのが「法定相続情報証明制度」です。制度を活用することで、書類管理の負担が軽減されます。この記事では、制度の説明と活用例について解説します。

〇法定相続情報証明制度とは?

法定相続情報証明制度とは、相続関係を一覧した図「法定相続情報一覧図」を法務局に交付してもらう制度です。
戸籍や住民票の束と指定の書面を法務局に提出することで、登記官が内容を確認し、法定相続情報一覧図に認証文を付けた写しを無料で交付してもらえます。
一覧図は、相続手続きで必要な戸籍の代わりに利用できるため、手続きごとに戸籍の束を提出する必要がなくなります。

法定相続情報一覧図の内容
• 被相続人の氏名、生年月日、死亡年月日
• 被相続人の本籍地、最後の住所
• (相続開始時)各相続人の氏名、生年月日、被相続人との続柄
• 申出人の氏名、作成代理人の氏名
• 相続人の住所(住所の記載を希望する場合)
※相続人の住所は、記載をすることで相続人の住所証明の代わりになります

〇法定相続情報一覧図のメリット

●相続手続きがスムーズになる
法定相続情報証明制度が始まる前は、相続手続き先が複数ある際、相続手続きに必要な戸籍の束を持ち回る必要がありました。例えば、法務局で相続登記を提出している間、登記が完了するまでは戸籍等資料が手元にないため、他の金融機関等での相続手続きができませんでした。
法定相続情報一覧図を複数枚取得することで、各手続き先に同時に書類を提出することができ、手続きにかかる時間を短縮することができます。

法定相続情報一覧図は、以下のような相続手続きで活用できます。
• 金融機関の預貯金の解約
• 不動産の相続登記
• 生命保険の請求
• 株や有価証券の名義変更
• 相続税の申告       等

※金融機関や保険会社等、法定相続情報証明制度に対応できていない場合がございますので、手続きの際は事前に確認が必要です

〇法定相続情報一覧図のデメリット

●取得する手間がかかる
法定相続情報一覧図を取得する際に、相続関係の分かる戸籍一式を収集する必要があり、書類を法務局に提出する手間がかかります。そのため、相続手続きが必要な期間が複数ある場合以外は、法定相続情報証明制度を利用するメリットはあまりありません。
また、制度の認知が進んでいない機関では、法定相続情報一覧図が利用できない場合があるため、事前に確認することが重要です。

〇法定相続情報一覧図の取得の流れ

1. 必要書類を準備
2. 提出書類の作成(申出書や法定相続情報一覧図)
3. 管轄の法務局で申請
4. 法定相続情報一覧図の発行

必要な書類や管轄の法務局は、各相続によって異なりますので、以下の法務局の手続きページにてご確認ください。
【法務:法定相続情報証明制度の具体的な手続きについて】
https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/page7_000014.html

〇まとめ

法定相続情報証明制度は、相続手続きをスムーズに進めるための便利な制度です。法定相続情報一覧図を複数取得すれば、様々な手続きで利用でき、戸籍謄本を繰り返し提出する負担を軽減できます。一方で、作成のために戸籍一式の収集や、法務局に申出をする手間がかかります。相続人が多い等、戸籍の収集が困難な場合、手続きが不安な場合は司法書士などの専門家に相談することがおすすめです。

(文責:司法書士 金光 康太)

このコラムの監修者

かなみつ こうた金光 康太
司法書士
大阪府エリア担当
所属:司法書士法人LSO

司法書士法人LSOは、大阪市北区に拠点を置く司法書士事務所です。
お客様一人ひとりに向き合い、最適な法的サービスを提供することで、安心で活気ある社会の実現を目指しています。


遺言書の作成、遺産分割協議、相続登記など、専門知識と豊富な経験を持つ司法書士が、丁寧に対応いたします。
安心して相続手続きを進められるよう全力でサポートいたしますので、お気軽にご相談ください。

かなみつ こうた金光 康太

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