相続税の相次相続控除
相続税は相続が発生するたびに課税される仕組みですが、親から子へ、さらに短期間で孫へ――と立て続けに相続が起こる場合、同じ財産部分に二重三重に税金が掛かり、残されたご家族の負担が過大になるおそれがあります。
この“相続の連鎖”を緩和するために設けられているのが「相次相続控除」です。
税理士として多数の相続税申告をサポートする中でも、この相次相続控除は適用漏れが散見されるポイントですので、制度の概要と実務留意点をまとめてお伝えします。
・制度の概要
前回の相続(例:父の死亡)で相続税を納めた相続人が、その後10年以内に亡くなり今回の相続(例:その子の死亡)が発生したとき、前回の相続で負担した相続税の一部を今回の相続の相続税から控除できる制度です。
控除額は“時間の経過”と“実際に受け継いだ財産割合”を加味して計算されます。
・相次相続控除額の計算式
A×C/(B-A)×D/C×(10-E)/10
※C/(B-A)の割合が100/100を超えるときは100/100とする
A、B、C、D、Eの意味はそれぞれ次の通りです。
A:今回の被相続人が前の相続の際に課せられた相続税額
B:今回の被相続人が前の相続の際に取得した純資産価額(取得財産の価額+相続時精算課税適用財産の価額-債務および葬式費用の金額)
C:今回の相続、遺贈や相続時精算課税に係る贈与によって財産を取得したすべての人の純資産価額の合計額
D:今回のその相続人の純資産価額
E:前の相続から今回の相続までの期間(1年未満の期間は切り捨てます)
・具体例
父が亡くなった 3 年 6 ヶ月後に母が亡くなり、長男・長女の2人で遺産を均等に相続する場合の相次相続控除額を計算します。
A:父の相続の際に母に課せられた相続税額 760万円
B:父の相続の際に母が取得した純資産価額 2億円
C:母の相続で相続人全員が取得する純資産価額 3億円
D:母の相続で相次相続控除を受ける子ども1人あたりの純資産価額 1億5千万円
E:経過年数 3年6ヶ月→3年
760万円×3億円/(2億円-760万円)×1億5,000万円/3億円×(10年-3年)/10年
=子ども1人あたりが受けられる相次相続控除額266万円(相続人2人合計の相次相続控除額は532万円)
※3億円÷(2億円-760万円)が100/100を超えるため100/100とする。
・まとめ
相次相続控除は、実務上は適用漏れが発生しやすい制度です。
前回の相続に関する資料の保管と家族間の情報共有、そして税理士による詳細なヒアリングが成功の鍵となります。
「今回の相続の前10年以内に相続があったかもしれない」と感じたら、必ず専門家へご相談ください。
このコラムの監修者
- 税理士
- 東京都エリア担当
所属:税理士法人マインライフ 東京事務所
税理士法人マインライフは、「お客様の一度きりの自分自身の人生を豊かにするサポートがしたい。」という思いで設立した法人です。
顧客に真摯に向き合い、高い専門性で顧客の発展に貢献し、税理士として個の力を最大限発揮する、ということが我々の基本理念です。
税理士は士業であるため、大規模な税理士法人に依頼をしたとしても、その成果は担当した税理士の個の力に大きく依存します。
我々は少数精鋭で高い付加価値を提供します。
所属する税理士全員が高い人間力と専門性を備え、お客様の発展に貢献します。
税理士は「税務に関する専門家として独立した公正な立場における」サービス業です。
我々の使命は、お客様とともにあります。
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