相続コラム

相続税及び贈与税の課税対象について

 

 

相続税及び贈与税の課税対象について

相続税及び贈与税の課税対象については、相続税法第1条の3及び同法第1条の4に定める納税義務者によって、取得した財産の全部(国内財産及び国外財産)になるか、相続税法の施行地にあるもの(国内財産)になるかが決まります。

ここでは、相続税法第10条に規定されている課税対象となる財産の所在について確認してみましょう。

課税対象となる財産の所在の判定基準(相続税法第10条)

相続税法 第10条 財産の種類 所在
1項1号 動産若しくは不動産又は不動産の上に存する権利 動産又は不動産の所在
船舶又は航空機 船籍又は航空機の登録をした機関の所在
1項2号 鉱業権若しくは租鉱権又は採石権 鉱区又は採石場の所在
1項3号 漁業権又は入漁権 漁場に最も近い沿岸の属する市町村又はこれに相当する行政区画
1項4号 金融機関に対する預金、貯金、積金又は寄託金で次に掲げるもの

  • 銀行、無尽会社又は株式会社商工組合中央金庫に対する預金、貯金又は積金
  • 農業協同組合、農業協同組合連合会、水産業協同組合、信用協同組合、信用金庫又は労働金庫に対する預金、貯金又は積金
預金、貯金、積金又は寄託金の受入れをした営業所又は事業所の所在
1項5号 保険金 保険(共済を含む。)の契約に係る保険会社等の本店又は主たる事務所の所在
1項6号 退職手当金、功労金その他これらに準ずる給与 給与を支払った者の住所又は本店若しくは主たる事務所の所在
1項7号 貸付金債権 債務者の住所又は本店若しくは主たる事務所の所在
1項8号 社債若しくは株式、法人に対する出資又は外国預託証券(株主との間に締結した契約に基づき株券の預託を受けた者が外国において発行する有価証券で、その株式に係る権利を表示するものをいう。) 社債若しくは株式の発行法人、出資のされている法人又は外国預託証券に係る発行法人の本店又は主たる事務所の所在
1項9号 合同運用信託、投資信託、外国投資信託、受益権を表示する証券を発行する旨の定めのある信託、法人税法第十二条第一項に規定する受益者(同条第二項の規定により同条第一項に規定する受益者とみなされる者を含む。)が存しない信託、法人が委託者となる一定の信託、特定目的信託 信託の引受けをした営業所、事務所その他これらに準ずるものの所在
1項10号 特許権、実用新案権、意匠権若しくはこれらの実施権で登録されているもの
商標権又は回路配置利用権、育成者権若しくはこれらの利用権で登録されているもの
登録をした機関の所在
1項11号 著作権、出版権又は著作隣接権でこれらの権利の目的物が発行されているもの 発行する営業所又は事業所の所在
1項12号 第7条の規定により贈与又は遺贈により取得したものとみなされる金銭 みなされる基因となった財産の種類に応じ、第10条に規定する場所
1項13号 1号から12号以外の財産で、営業所又は事業所を有する者の当該営業所又は事業所に係る営業上又は事業上の権利 営業所又は事業所の所在
2項 国債又は地方債 法律の施行地(日本国内)
外国又は外国の地方公共団体その他これに準ずるものの発行する公債 外国
3項 上記以外の財産 財産の権利者であった被相続人又は贈与をした者の住所の所在

財産の所在の判定における注意すべき点

相続税法第10条に規定されている財産の所在の判定における注意すべき点につて確認してみましょう。(相続税法基本通達より)

  1. 財産の所在の判定

    当該財産を相続、遺贈又は贈与により取得した時の現況による(相続税法第10条第4項)。

  2. 船籍のない船舶の所在

    相続税法第10条第1項第1号に掲げる「船舶」とは、船籍に関する定めのある法令の適用のある船舶をいうのであるから、船籍のない船舶については、その所在により判定するものとする(相続税法基本通達10-1)。

  3. 生命保険契約及び損害保険契約の所在

    相続税法第3条第1項第1号に規定する生命保険契約及び損害保険契約の所在については、同項第1項第5号の規定に準ずるものとする(相続税法基本通達10-2)。

  4. 「貸付金債権」の意義

    相続税法第10条第1項第7号に掲げる「貸付金債権」には、いわゆる融通手形による貸付金を含み、売掛債権、いわゆる商業手形債権その他事業取引に関して発生した債権で短期間内(おおむね6月以内)に返済されるべき性質のものは含まれないものとする(相続税法基本通達10-3)。

  5. 主たる債務者が2以上ある場合の債権の所在

    主たる債務者が2以上ある場合におけるその債権の所在については、相続税法施行令第1条の14の規定により判定するものとする(相続税法基本通達10-4)。

  6. 株式に関する権利等の所在

    相続税法第10条第1項第8号に掲げる「株式」には、株式に関する権利を含むものとし、「出資」には、出資に関する権利を含むものとする(相続税法基本通達10-5)。

  7. 営業上の権利

    相続税法第10条第1項第13号に掲げる「営業上の権利」には、売掛金等のほか、その営業又は事業に関する営業権、電話加入権等をも含むものとする(相続税法基本通達10-6)。

  8. 特別寄与料の所在

    特別寄与料については、相続税法第10条第1項各号に掲げる財産及び同条第2項に規定する財産のいずれにも該当しないことから、同条第3項の規定によりその所在を判定することに留意する(相続税税法基本通達10-7)。

【注意書き・監修者情報】

本記事は、相続税法および関連通達の規定に基づいて作成された情報提供を目的とするものであり、正確性には万全を期していますが、最新の法令改正や個別の具体的な事案については、必ず税理士などの専門家にご確認ください。

このコラムの監修者

やまけ たかみち山宅 孝道
税理士
埼玉県エリア担当
所属:山宅孝道税理士事務所

税理士の山宅と申します。
私は23年に渡り税務署に務めてまいりました。とりわけ、相続税や贈与税にかかわる経験が長く、税務調査の実施も多数手掛けております。
これらの経験を生かし、皆さまの相続税の処理をスムーズに行うだけでなく、大切な家族の遺産をできる限り多くの残すことができるよう、サポートさせていただきます

やまけ たかみち山宅 孝道

税理士の山宅と申します。
私は23年に渡り税務署に務めてまいりました。とりわけ、相続税や贈与税にかかわる経験が長く、税務調査の実施も多数手掛けております。
これらの経験を生かし、皆さまの相続税の処理をスムーズに行うだけでなく、大切な家族の遺産をできる限り多くの残すことができるよう、サポートさせていただきます

048-717-2420

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