相続の際にどのように遺産分割するかは、相続税はもちろんですが、その後万が一相続した財産を売却することになった場合には譲渡所得税の税額にも影響してきます。
このことを知っているかいないかで将来数百万円税額が変わることになりますが、いくつかの譲渡所得の特例が係わってきますので3回に分けて解説していきます。
今回のテーマ:「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例」
居住用財産の譲渡の特例は、自宅を売却した際に適用される税制上の優遇措置で、特に老後の住み替えや転居に伴う負担を軽減するためのものです。
3,000万円の特別控除の概要
「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例」は、所有期間の長短に関係なく譲渡所得から最高3,000万円まで控除ができる特例です。これにより、譲渡所得が3,000万円以下であれば、所得税や住民税の負担がなくなります。
特別控除を受けるための主な条件
この特別控除を受けるためには、以下の条件を満たす必要があります:
- 売却する財産が自己の居住用であること。
- 過去3年間に同じ特例を受けていないこと。
- 売却する相手が親族や特別な関係者でないこと。
【具体例】相続時の分割方法による譲渡税額の比較
前提:相続した実家の不動産を6,000万円で売却予定(取得費は0とする)
・同居していなかった者が不動産を相続し売却した場合の譲渡税額
6,000万円(譲渡対価)× 20% = 1,200万円
・同居していた者が不動産を相続し売却した場合の譲渡税額
〔6,000万円(譲渡対価)- 3,000万円(特別控除)〕× 20% = 600万円
分割時にどのように相続するかで譲渡所得税が600万円変わることになります。
したがって、相続時に将来の譲渡(売却)のことまで踏まえて分割することが重要になるわけです。
最後に、これらの特例を適用するためには、適切な手続きを踏むことが必要です。特例の申請には税務署への申告が必要であり、売買契約書や所有期間を証明する書類などを提出する必要があります。また、税制は年々変更される可能性があるため、最新の情報を確認し、専門家に相談することをお勧めします。