遺言(特別の方式)
遺言は、民法に定められた方式(普通の方式または特別の方式)に従わなければ、その効力を生じません(民法960条)。
特に、病気や災害など、通常の方式(自筆証書、公正証書、秘密証書)で遺言を作成する時間的・物理的な余裕がない危機的状況下においては、「特別の方式」が適用されます。今回は、特別の方式(976条から第984条)について見ていきたいと思います。
特別の方式による遺言の種類
特別の方式による遺言には、状況に応じて以下の4つの種類があります。
- 死亡の危急に迫った者の遺言(976条)
- 伝染病隔離者の遺言(977条)
- 在船者の遺言(978条)
- 船舶遭難者の遺言(979条)
1. 死亡の危急に迫った者の遺言
病気その他の理由で死亡の危急に迫った者が遺言をするための方式です。
作成の手順と要件
- 証人三人以上の立会いが必要です。
- 遺言者がその趣旨を証人の一人に口授(くじゅ)し、口授を受けた者がこれを筆記します。
- 筆記内容を遺言者及び他の証人に読み聞かせ、又は閲覧させます。
- 各証人が正確性を承認した後、署名・押印します(976条第1項)。
【補足:外国語・家庭裁判所の確認について】
日本語を話せない遺言者は、通訳人の通訳により申述して口授に代えることができます(976条2項)。
また、この遺言は遺言の日から20日以内に家庭裁判所の確認を得なければ効力を生じません。裁判所が「遺言者の真意に出たものである」と判断した場合にのみ確認されます(976条4項、5項)。
2. 伝染病隔離者の遺言
伝染病のため行政処分によって交通を断たれた場所に在る者が遺言をする方式です。
- 警察官一人及び証人一人以上の立会いをもって作成します(977条)。
- 遺言者、筆者、立会人及び証人は、各自遺言書に署名・押印する必要があります(980条)。
3. 在船者の遺言
船舶中に在る者が遺言をする方式です。
- 船長又は事務員一人及び証人二人以上の立会いをもって作成します(978条)。
- 伝染病隔離者の遺言と同様に、関係者全員の署名・押印が必要です(980条)。
4. 船舶遭難者の遺言
船舶が遭難し、死亡の危急に迫った者が行う方式です。
- 証人二人以上の立会いをもって、口頭で行うことができます(979条1項)。
- 証人がその趣旨を筆記・署名・押印し、遅滞なく家庭裁判所に請求して確認を得る必要があります(979条3項)。
⚠️ 特別の方式による遺言の有効期限
特別の方式はあくまで緊急時の特例です。そのため、遺言者が普通の方式で遺言ができるようになった時から6箇月間生存するときは、その効力を失います(民法983条)。
これらの特別の方式は、通常の方式による遺言が困難な状況下で、遺言者の最終的な意思を法的に保護するために重要な役割を果たしています。
このコラムの監修者
- 司法書士
- 千葉県エリア担当
所属:松田事務所
相続太郎のホームページをご覧いただきありがとうございます。
司法書士の松田と申します。
司法書士をしていると、普通に生活していれば出会う事もなかったであろう人と、お仕事を通じて出会えることができ、面白いと感じております。しかも、マイホームの購入、ローンの完済、相続の開始等、皆様の人生において重要な節目に立ち会わせて頂くことができ、ありがたい職業です。
多くの方は、ご両親の相続を二度経験し、ご自身の相続を一度迎えることになります。相続と言っても、法律関係・税務関係・不動産売却等様々な要素が重なりあっております。一度や二度の経験では大変難しいものだろうと思います。幸いなことに、お客様から頂いたお仕事を通じ、様々な相続を経験してきました。お客様の相続を最善の相続にできるよう、私の経験をお客様に還元できればと思います。
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