管理不全土地管理制度
「管理不全土地・建物管理制度」とは?
「管理不全土地・建物管理制度」という制度をご存じでしょうか。
所有者不明土地・建物管理制度と異なり、所有者がいるのに管理されていない不動産を対象とする制度を「管理不全土地・建物管理制度」といいます。
令和5年民法改正により新設された制度の一つとなります。
「管理不全」の定義と具体例
では、ここで「管理不全」とはどういう意味でしょうか。
法律上の定義としては、土地・建物がその性質・用途に照らして適切に管理されておらず、他人の権利・利益を害するおそれがある状態を指します。
イメージがわきにくいかと思いますので、実務における典型例を挙げさせていただきます。
- 空き家が傾いている
- 屋根・外壁が崩れかけている
- 雑草・樹木が越境している
- ゴミの不法投棄・悪臭
- 害虫・野生動物の発生
- 塀・擁壁が崩落寸前
※注意点
現実の被害発生は不要で、被害発生の「おそれ」があれば足りるという点に注意が必要です。
対象となる不動産の要件
- 所有者が特定できる
- 登記上存在している
- 相続未登記でも可能
※所有者が完全に不明の場合には、「所有者不明土地建物管理制度」を利用することになります。
申立てができる人(利害関係人)
実際に制度を利用するためには、裁判所に申立てをする必要があります。ここで申立てができるのは「利害関係人」に限られます。
- 隣地所有者、近隣住民
- 管理費を請求できない管理組合
- 金融機関(担保不動産の場合)
- 市町村(実務上、最も多いケースです)
※単なる通行人などは申立てができない点に注意が必要です。
【管轄裁判所】
原則として、不動産所在地を管轄する地方裁判所となります(家庭裁判所ではありません)。
申立てに必要な主な資料
実務では以下のような資料が必要となります。
- 登記事項証明書
- 現況写真
- 被害・危険性の説明書
- 近隣住民の陳述書
- 管理費用の見積書
管理人の選任と権限
裁判所から選任される管理人は弁護士が最も多く、場合によっては司法書士、不動産管理会社、建築士が選任されることもあります。
管理人に認められる権限
1. 裁判所の決定により可能な行為
- 修繕・補修
- 雑草除去・清掃
- 危険防止工事
- 占有者の排除
- 建物の施錠・立入制限
2. 裁判所の許可がある場合に可能な行為
- 賃貸
- 売却
- 取壊し
重要ポイント
この制度を利用しても、所有者の所有権が一切失われるわけではありません。ただし、管理不全が回復するまでは管理権限が制限され、原則として管理人の行為に従うこととなります。所有者が管理不全を解消したことを立証すれば、管理命令の取消を求めることが可能です。
管理費用と予納金について
管理費用は最終的に所有者の財産から負担されます。しかし、裁判所が申立人に対して「予納金」を求めることが多いため、最終的に所有者から回収できないリスクがある点には十分な注意が必要です。
制度の終了事由
期間の定めがなされなかった場合は、管理不全の状態が改善されるまで継続します。その他の終了事由は以下の通りです。
- 管理不全の状態が解消されたとき
- 所有者が自ら管理を開始したとき
- 不動産が処分(売却・取壊し等)されたとき
まとめ
管理不全土地建物管理制度は、「所有者はいるが放置され、危険になっている不動産を、裁判所主導で専門家に管理させる制度」です。
最後に、申立人が予納金を求められるケースがほとんどであるため、所有者から費用を回収できない可能性も考慮した上で検討を進めるべきでしょう。
このコラムの監修者
- 司法書士
- 広島県エリア担当
所属:アップ・リーガル司法書士事務所
相続の手続は複雑なものが多く、手続きの種類も多岐にわたるため、どうしていいか分からないという方も多いのではないでしょうか。
当事務所では、お客様の「どうしよう」という不安な思いを「相談してよかった」と安心していただけるように、お客様に寄り添いながら手続きを進めさせていただきます。
ご依頼を真摯に受け止めお客様への思いやり、心づかいをもって一生懸命にお役に立ちたいと思っておりますので、まずはお気軽にご相談ください。
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