小規模宅地等の特例(特定同族会社事業用宅地等)について
小規模宅地等の特例(特定同族会社事業用宅地等)について
小規模宅地等の特例の特定同族会社事業用宅地等とは?会社が使っていた土地でも特例が受けられる
小規模宅地等の特例は、相続した土地について一定の要件を満たせば相続税評価額を大幅に減額できる制度です。
この制度には複数の区分がありますが、被相続人が所有し、同族会社が事業に使っていた土地について一定の要件を満たす場合には、「特定同族会社事業用宅地等」として、相続税評価額のうち400㎡を限度に80%減額されます。
会社の本社や工場、営業所などに使っていた土地について、所有者が法人ではなく被相続人個人名義であれば、この特例の対象となる可能性があります。
それでは、「特定同族会社事業用宅地等」に該当するための要件を「相続開始直前」と「申告期限まで」に分けて確認をします。次章では、まず「相続開始直前の要件」について詳しく見ていきましょう。
相続開始直前の要件 「誰の土地か」「どんな会社か」「どう使っていたか」
この特例が適用できるかどうかは、相続の直前に以下の5つの条件を満たしていたかがポイントになります。
- 土地は被相続人が所有していたこと(建物は会社でもOK)
- 法人の「事業」として使っていたこと
- 同族会社が使っていたこと(親族などで株の過半数を保有)
- 土地を有償で貸していたこと(無償や著しく低額ではダメ)
- 建物や構築物があり、その「敷地」として使われていたこと
以下で、それぞれのポイントについてわかりやすく説明します。
■ 土地は被相続人が所有していたこと(建物は会社でもOK)
この特例は、あくまで被相続人が所有していた土地に対して適用されます。つまり、会社が事業で使っていた土地でも、土地が会社名義であれば、この特例は使えません。なお、建物が会社の名義であっても、土地の名義が被相続人本人であれば適用は受けられます。
■ 法人の「事業」として使っていたこと
まず前提として、対象となる土地は会社が本業として行っている事業のために使用していた土地である必要があります。製造業やサービス業、販売業などの事業が該当し、会社の本店や営業所、工場、作業所などに使われていた土地などが該当します。
一方で、会社の事業内容が不動産賃貸業(アパート経営や駐車場貸しなど)だった場合は、この区分ではなく「貸付事業用宅地等」としての特例の可否を検討することになります。
■ 同族会社が使っていたこと(親族などで株の過半数を保有)
この特例が使えるのは、「同族会社」が使っていた土地に限られます。同族会社とは、被相続人やその親族がその会社の株式の過半数(50%超)を保有している会社をいいます。つまり、親族中心で経営している会社で、その会社が使っていた土地であることが要件です。
■ 土地を有償で貸していたこと(無償や著しく低額ではダメ)
特に注意したいのがこの点です。土地を会社に無償で使わせていた場合や、極端に安い賃料で貸していた場合には、この特例は使えません。会社ときちんと賃貸借契約を結び、適正な賃料を支払ってもらっていたことが必要です。
【注意書き:よくある落とし穴】
会社の経営状況等で「会社の経費を抑えるため地代は取っていなかった」というケースがよくあります。しかも、実はこの場合、土地の評価額も適正な賃料で貸している場合よりも高くなります。特例も使えないし、特例を受ける前の評価額も高くなってしまうという二重の不利益が生じるため、生前の対策が不可欠です。
■ 建物や構築物があり、その「敷地」として使われていたこと
土地が実際に建物や構築物の敷地として使われていたことも要件になります。会社の建物(本社ビル、工場、店舗など)が建っており、その建物の下の土地(敷地)として使われている状態が必要です。
この「相続直前の状態」がクリアされているかどうかが、最初のハードルとなります。
申告期限までの要件 「相続後も“土地・会社・後継者”の関係を維持していることが必要」
相続開始直前の状態を満たしていたとしても、それだけでは小規模宅地等の特例を受けることはできません。実際にこの特例を適用するためには、相続税の申告期限(相続開始を知った日の翌日から10か月以内)までに、具体的には次の3つの要件を満たす必要があります。
- 相続人が、その土地を申告期限まで所有していること
- 相続人が、申告期限においてその同族会社の役員であること
- 同族会社が、その土地で申告期限まで事業を行っていること
まとめ
小規模宅地等の特例は、相続税の評価額を大きく引き下げる有効な制度のひとつです。
しかし、以下のような理由から、少し注意をすれば適用を受けられる可能性があったのに、適用を逃してしまったケースが多くあります。
- 「地代や賃料を受け取っていなかった」
- 「相続直後に土地を売却してしまった」
- 「役員に就任しなかった」など
【実務上のアドバイス】
会社で使う土地について会社名義にしておくのも安心ですが、あえて個人名義にし、この特例の適用を受けることで大きなメリットが受けられる場合もあります。制度を正しく理解し、早めに準備しておくことで相続税の負担に大きな差が生まれます。
このコラムの監修者
- 税理士
- 東京都エリア担当
所属:税理士法人マインライフ 東京事務所
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